麺匠のこだわり
その一 何度も重ねる熟成が命
うどんづくりは、小麦粉と水、海塩を混ぜ合わせる「練り上げ」に始まり、足踏みで生地を延ばし、いくつもの工程を経て、棒状から紐状へと麺を徐々に細くしていきます。その手間暇かけた工程の中で、何度も生地を熟成させます。これこそ、五島手延うどんの命です。
その二 島の名産・椿油を使用
生地を延ばしていく過程で、麺同士が付着しないように使用しているのが、五島列島特産の食用椿油です。椿油はオレイン酸を豊富に含有しており、麺の酸化を防ぐ効果があるともいわれています。
その三 あごだしと抜群の相性
秋風が島に渡る頃に漁の最盛期を迎えるあご(飛魚)を炭火で焼き、乾燥させて作る焼きあごは、コクのある上品な「だし」へと生まれ変わります。あごだしと五島うどんとの相性は抜群! 上五島の豊かな風土がはぐくんだ極上の逸品といわれる理由が、そこにあります。
麺匠のひと言
上五島の作物の中心は、麦とサツマイモ、蔬菜〈そさい〉でした。山には椿が群生し、塩は海水で事足りました。そして、五島列島近海では、日本一のあごが捕れます。忙しい半農半漁の島の暮らしの中で、手近な材料でこしらえられる美味しい保存食。五島うどんが長く愛されている理由じゃないでしょうか。
註:あご(飛魚)は、ダツ目トビウオ科の海魚の総称で、全長20~35センチメートル。体は円筒形で細長く、胸びれが発達して翼状になり,これを用いて海面上を滑空し、時には時速60キロメートルで、300メートル以上も飛ぶことができる。(『大辞林』参照)