日本の食文化のルーツ、上五島
五島うどんは古くから、漁に、農作業にと、日々の暮らしに追われる島の人々の間で、身近な材料でできる保存食として親しまれてきました。長い時間をかけて丹念に作り上げるために生産量が限られていたことから、かつては「幻のうどん」と呼ばれていました。
近年、日本の食文化のルーツを探る調査・研究の中で、五島うどんの発祥は、遣唐使が日本と大陸を往来していた奈良・平安時代にまで遡ることが明らかになっています。
五島手延うどんの美味しさの秘密は、熟練の麺職人が時間と労力を少しも惜しむことなく、麺1本1本を丹精込めて生産することにあります。製造工程の一部は機械化されていますが、棒状の生地を2本の箸にかけて、手で引き延ばして紐状に束ねる作業を繰り返し、じっくりと熟成させていく伝統製法の基本は、1300年の時を経ても揺らぐことがありません。