上五島の自然と麺匠の技に磨かれる【五島うどん】

株式会社ますだ製麺
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ますだ製麺 上五島の自然と麺匠の技に磨かれる【五島うどん】


麺匠の挑戦 舛田安男

第3話 前進
五島うどん専門店、竹酔亭を創業

 やがて、商品自体の品質が徐々に向上し、2年、3年と頑張っていくうちに、島内に限らず、島外を目指せるようになってきたわけです。すると、島の若者が、手延うどんの作り方を教えてほしいと言ってくるようにもなった。
 島内に、そういう若者が増えれば、町が動く。町が動けば、県が動く。5、6年が過ぎて、町に五島手延うどん協同組合が発足する。
 事業が軌道に乗ると、教えている若い弟子たちに「中のことは俺に任せとけ。おまえたち若者は、島の外に出ろ」って発破をかけてね。後ろから何かに追っかけられるように県外へと販路を求めて、少しずつ、五島手延うどんが広まっていったんです。
 また、これは、昭和59年のことですが、県内の麺業者の知人から、全国で開かれる物産展への参加の誘いがあり、各地のデパートなどでの実演販売が始まります。うどん作りは家内の美枝〈よしえ〉に任せて、俺が全国を回るぞと言ってね、一番長い時で、正月7日に上五島を出発して、福岡に始まり、6月終わりの栃木県宇都宮市まで、半年間、一日も島に帰らずに各地の物産展を転々と渡り歩きましたよ。
 北海道に行ったときは、「五島って、どこですか?」って聞かれる始末。私のことは「ごしま」さんって呼ばれてましたしね(笑)。五島を離れて、遠くに行けば行くほど、五島うどんのことなど誰も知らなかった。
 大阪でタクシーに乗ったとき、運転手さんから「お客さん、どちらから?」と聞かれて、「長崎県の五島です」と。こっちから「何が有名か知ってますか?」と尋ねると、「やっぱり魚でしょう」という答え。「いやいや、五島うどんですよ」って言うと、「へーっ。うどんですか」って、頭をかしげられたこともありましたね。

舛田安男  こうして10年という歳月が、アッという間に過ぎていきました。
 その当時、島にはまだ、五島うどんが食べられる専門店がなかったので、昭和63年、思い切って、竹酔亭〈ちくすいてい〉という、うどん屋をオープンさせました。うどんは昔から、島の家々ごとに自家製で食べるものだったから、うどん屋を開業したところで、食べに来てくれるお客様がおるやろかって、正直言って、半信半疑でしたけどね。
 だったら、自転車操業なのに、なんで店なんぞ開いたのかって? それは、本土から島に来る人がいたら、ぜひ、うちの店で、五島うどんば食べてみてごらん、ってことですよ。最初から損得勘定なんて、私の頭には微塵もなかったですし、五島うどんのアンテナショップになればな、ぐらいにしか考えていなかったんです。
第4話へつづく



五島うどん 麺匠が紡ぐ奇跡の物語

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