上五島の自然と麺匠の技に磨かれる【五島うどん】

株式会社ますだ製麺
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ますだ製麺 上五島の自然と麺匠の技に磨かれる【五島うどん】


麺匠の挑戦 舛田安男

第4話 挑戦
TVチャンピオンで讃岐うどんを破る

舛田安男  創業20年が過ぎた頃だったと思います。高校野球じゃないけどね、野球をやるんだったら、甲子園を目指さなならん。そのためには、高い技術を取り入れて、もっと品質の良い商品を世に出さなならんと、拳を握って「日本一美味しいうどんを目指すぞ」ってね。従業員一人ひとりが、全国大会に出場するぞという新たな夢を抱くようになった。
 ちょうど、その時でしたね。テレビ東京系列の「TVチャンピオン」という人気番組の「全国うどん職人選手権」に出演する話が舞い込んできた。島でうどん屋を運営していたことや、長崎県には「幻の五島うどん」というのがあるという話を番組のディレクターが聞きつけたんでしょう。

 ディレクターに、ほかの地区からは、どんな人が出るんですか、って聞いてみたところ、香川県の讃岐、秋田県の稲庭、埼玉県の加須は、いずれも若手の職人でした。ですから、こんな年の行った俺でもやれるだろうかという不安と、折角のチャンスに五島うどんという名前を全国の視聴者に知らしめたいという希望が錯綜していたんだけれども、「ま、なるごとなるだろう」と開き直って、選手権に臨んだんです。
 東京に着いたときは、黒のコートに黒の帽子を被り、フライパンを手に持って、殴り込みにきたでってね、精一杯、格好つけたつもりだったんだけどね・・・・・・(笑)
 しかし、あんな大がかりのイベントになるとは思ってもみなかった。戦っているあいだ、(もう死ぬばい)と何度思ったことか。実際、体力の限界を超えていたんでしょう、途中、具合が悪くなって、テントの陰で何回も吐いてたんですよ。それだけ過酷な試合だった。
 販売力と腕を競うイベント内容で、短時間にいかに売り上げるか。前半戦は16時、後半戦は19時の締切。結果、稲庭うどんが優勝。次いで五島うどん、加須うどん、讃岐うどん--の順。でも、後半戦は、わが五島うどんが一番だった。当初、出ても、せいぜい300杯ぐらいだろうと見込んでいたんだけれども、終わってみると、千数百杯ですよ。
 しかし、このとき、参加者の反応を見ていて、五島うどんが、全国でいかに知られていないかを痛感したんですよ。われわれの努力なんて、まだまだ話にもならない。今にして思うと、それが一番の収穫だったかもしれませんね。
 このテレビ番組をきっけに、五島うどんが讃岐うどんを破って準優勝したぞって話が、さらに話題を呼んで、新聞・雑誌にも取り上げられるようになり、五島うどんがしばらく、地元で脚光を浴びました。
 当時を振り返ると、うどん作りに従事する関係者の、五島うどんをなんとしても全国に広めるんだ、という熱い思いがね、いい結果に繋がったんじゃないかなって思うんですよ。
第5話へつづく



五島うどん 麺匠が紡ぐ奇跡の物語

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